円が損をするアジア統一通貨

鳩山民主政権が掲げる東アジアにおける共同体は、もちろんEU的な経済的な共同体がその過程に存在する。

そうするとおのずと、統一通貨の議論になるだろうが、にわかに民主政権誕生のせいか、再燃しているようだ。

東アジアにおける統一通貨については、これまでも議論が何度かあった。

1980年代に、日本の円を基軸通貨としたアジア基軸通貨基金構想などがあったが、バブル崩壊によってなくなった。

1990年代初めにはアジアでの通貨危機を背景にアジア基軸通貨構想が持ちあがったが国際通貨基金(IMF)などの反発により消滅したという。

そして現在は、アジア開発銀行の黒田東彦総裁が、世界的な経済危機再発防止のためと、アジア統一通貨の創設を提案している。

これまでのキーカレンシーである米ドルの信用が落ちたことが、このような議論の再燃のもとなのであろうが、アジアの通貨統合にはいささか無理があるのではないか。

それでは、日中韓の三か国での通貨統合はどうか、という議論もあるが可能とは思えない。

まず、現在成長目覚ましい中国は共産主義国。政体が違いすぎる。

また韓国経済はガタガタで明らかにバランスがとれない。

 

単独でのハードカレンシーはアジアで円のみ

そもそも、国際的に信用のある通貨、ハードカレンシー(国際決済通貨)として国際的に流動性を認められている通貨は東アジアで円だけだ。他に、シンガポールドル、香港ドルを含めれば3通貨となるが、シンガポールドル、香港ドルの二つはペッグ制で単独では成り立たない。円だけが国際通貨なのである。

ただし、その円も今やハードカレンシーには入らないという見方もある。

その状況で通貨統合などしたら、日本にとってはデメリットしかない。メリットがあるとすれば、同一の経済共同体ということで戦争の危機は減るかもしれないが、前述したように中国とは政体が違う。左傾化している世情で飲み込まれるのではないか。日本の国体が急変する可能性がある。

また、そもそも中国は最終的には通貨統合はするつもりはないだろう。

現在の元安政策を捨てるはずもなく、将来のビジョンは中国は元を世界の基軸通貨にするつもりである。援助が欲しい時には、そのような共同体に賛同するそぶりを見せるかもしれないが、最終的に元が強くなった時には、元をハードカレンシー、またはキーカレンシーにするのが目標のはずである。

 

憲法9条で信用のない円

さて、ではなぜ円はハードカレンシーではないという見方があるのだろうか。

それは独自の軍隊がないからである。自分の国を自分で守れない国。米国依存のお金だけしかない国だからである。仮にもし、成長著しい隣国に占領されたらどうなる? そのような不安要素があるので、円がいくら強くても、本当の意味での国際的な信用度がないのだ。

米国がくしゃみするたびに世界も風邪をひくが、実はこの円がもっとがんばるべきなのだと思う。景気対策をしっかりするのはもちろん、きちんとした軍事力を整え、自国をしっかりと守るべき軍隊を持っていることを明示すること。それがないから円の本当の力を発揮できないのではないだろうか。

元が一直線にハードカレンシーを目指している横で、日本政府はアジア統一通貨を作りましょうという流れだ。どんどんその地位を自ら下げているような気がしてならない。

 

参考 黒田ADB総裁、金融危機の再発防止にアジア単一通貨提案